2008.03/22 [Sat]
葦ノ籠(アシノカゴ)-黒色綺譚カナリア派
久しぶりの青山円形劇場である。「AoyamaFirstAct#9」という劇場の円形の特性を生かせる若手劇団を持ってくると言う劇場側からの企画。劇場に入ってワクワクしてしまった。この空間はもうテントである…。円形の壁一面に垂れ幕、垂れ下った提灯、すすきに埋まった舞台…。 それもそのはず作・演出で主宰の赤澤ムックさんは『唐組』出身だという。その可愛いいスリムな外観は「えっ!こんな可愛い女の人が…」と意外な感じがする。話は昭和35年、…あれ?確かオルガンヴィトーの「幻探偵」も昭和35年だった。オルガンヴィトー主宰で作・演出の不二稿京さんも時代は違えど、『状況劇場』出身である…。 どちらも戦後の高度経済成長時代の昭和の暗部をノスタルジーではなく、エグくキチンと描いている。でもその差は生まれた年代のせいだろう…、そのテント芝居で期待してしまう力強さは、外見の「赤澤ムック」さんの線の細さ、「不二稿京」さんの大きさに比例していまう…。 ウ~ゥ~ウ~ゥ~と昔サイレンが鳴り始まって、まるでクラブにでも来たかのような回る照明と音楽、最後もそうだ…、とてもおばさんにはめずらしかった、楽しめた。主人公の男が瞑空に入って、男娼の子供とその老婆を、死んだ子供と居なくなった妻と感ずる入り方がもっとキッチリ観せてほしかったが…。 出演の下総源太朗さんは(いやいや、源ちゃんといつも通り呼ばせてもらいます。)私が『転位・21』に再度入った時に苦楽を共にした仲である。源ちゃんは去年より、「かうしてPrologue」の演出や、第3エロチカ出身の女性Gr.「ZORA」の演出等をやり、自分の演技も確立したようである。よく昔から演出家の演技は面白かった(今の劇団ではどうなのだろう?)、周りの役者を観ようとするから相手役者や周りの状況から外れることはないのである…。今の源ちゃんはその方法を確立したのである…、と思う。お客さんが楽しみに待ち焦がれる役者さんです?それは源ちゃんの人柄でもあり、共演者への気の使い方はすばらしく、きっと若手の役者さん達は彼にぞっこんで…。それが顕著に出ていた芝居でした。若手のオーディションで入った立元竜生さん、彼も「帰ってきたゑびす」で共演したことのある人です。舞踏をも習っているので、今回踊りのシーンがあってよかった?性格がよく、とてもハンサムで今時の子達は彼みたいな子を好きだろうな?…でも、テントっぽい芝居や白塗りの舞踏に興味を示す面白い子だ…。
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